Beatlesを君に -その4-
Beatlesを君に。全10曲のうち7,8曲目。
A Day In The Life (1967)
8枚目のアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のラストを飾る曲で、JohnとPaulがそれぞれ作曲した2曲を繋げて1曲にしたというコラボ曲。麻薬を連想させる歌詞のためBBCで放送禁止になった曲でもある。
Stg. Peppersは、Beatlesではない架空のバンドによるアルバムという設定で作られており、述べ700時間も製作に費やされた、世界で初めてのコンセプトアルバムと言われている。ヒッピー全盛時代の渦中に登場した、時代の最高傑作、伝説のアルバムである。Beatlesの最高傑作であると評するファンも多い。
このアルバム以降、アルバムは何らかのコンセプトを持つべきであるというトレンドも生みだした。結果として、コンセプトアルバムが当たり前になった現在、発表当時のインパクトに比べていま改めて聴いた場合のインパクトが最も低くなっているアルバムとも言えるかもしれない。
では、このアルバムがBeatlesの最高傑作かというと、僕はそうは思わない。コンセプトもタイトルもジャケットデザインも、全てPaulのアイデアによるもの。ノリに乗っていたPaulが突っ走って作り、乗り気でなかったJohnがなんとか最低限の曲数だけ提供してできたこのアルバム。ソングライティングそのものはそれほどクオリティが高いとは思わない。Paulの、というよりもGeorge Martinの仰々しいサウンドはやや行き過ぎている感もある。4人の個性が最も見えないアルバムとも言える。
もし、このアルバムに本曲、A Day In The Lifeがなかったら、単に遊び心にあふれたおもしろいアルバム、で終わっていたのではないかと思う。しかしながら、この曲が最後に入っているからこそ、Sgt.Peppersは崇高な雰囲気を纏うのだ。
JohnとPaulのそれぞれの曲をつなぐオーケストレーションが極めて印象的だ。40名のミュージシャンが恐ろしいほどの壮大なスケールで低音から高音まで上り詰め、大音量の直後、静寂を極める。2度目の静寂の直後の、沈黙を打ち破るピアノのワンコード。長く、うやうやしい空気の中1分ほど続く残響音。
仰々しいサウンドが続くこのアルバムの中でも最もサウンドに凝ったこの曲が、他の曲とは別格の佇まいで輝くのは、何よりもメロディーそのものが美しいからだ。John作曲、Paul作曲の部分とも、アコースティックギターで弾き語りをしたとしても美しい曲になっていただろう。だからこそ、凝ったサウンドを身にまとっても、その派手さに負けないのだ。
Johnが明らかにPaulをライバル視し始めたこの時期に、JohnとPaulの共同で作られたこの曲。Beatlesだけでなく、ロック史上の最高傑作のひとつとして輝く最高の曲だ。
I Am The Walrus (1967)
アルバム「Magical Mystery Tour」に収められた、Beatlesの曲群の中でも難解を極める、Johnによる1曲。
Magical Mystery Tourは前作のSgt. Peppersと同じ年に作られているが、これも覚醒したかのように性急に曲を作り続けるPaul主導によるもの。このころにはJohnはPaulのアイデアすべてに否定的な考えを持つにいたっている。
もともと6枚組のミニアルバムだったこのアルバムにJohnが提供しているのはこのI Am The Walrusの1曲だけだ。先のA Day In The Lifeの選曲もそうだが、僕はこの頃のPaulの作風があまり好きではないのかもしれない。というよりも、数少ないJohnの存在感のあるサイケな曲が目立ちすぎるのか。。。
多数のオーケストラとコーラス隊を引き連れ、重厚で不気味なサウンドに乗せて「僕はセイウチ」と難解な歌詞を歌うJohn。マスコミやリスナーを混乱させることが目的だったのかもしれない。
Paulが作る曲は、産みの苦しみなどなく、まるでそこに最初から存在していたように自然で美しいメロディーを奏でる。一方でJohnの曲は、試行錯誤の上、苦しんで生み出した感が常に漂う。Paulは作曲家であり、Johnは表現者だったということか。このJohnのBeatles史上最も難解な曲がシングルとして発売されたとき、そのカップリングは、Beatles史上最もシンプルでわかりやすいHello Goodbyeであったのも、この2人の特徴を浮き彫りにしているように思う。
I Am The Walrusはその後Oasisがいつもライブの最後に演奏していたことでも知られている(彼らはBeatlesの別の曲、Helter Skelterをラストに持ってきていた時期もあったと思う)。この曲は、その不気味な雰囲気とは違い、意外とライブでもノリが出る曲だ。
表現者たるJohnが生み出したこのサウンド、ぜひ大音量で楽しんでほしい。後半にかけての、笑い声とも掛け声ともつかない声が響くアレンジは必聴だ。
A Day In The Life (1967)
8枚目のアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」のラストを飾る曲で、JohnとPaulがそれぞれ作曲した2曲を繋げて1曲にしたというコラボ曲。麻薬を連想させる歌詞のためBBCで放送禁止になった曲でもある。
Stg. Peppersは、Beatlesではない架空のバンドによるアルバムという設定で作られており、述べ700時間も製作に費やされた、世界で初めてのコンセプトアルバムと言われている。ヒッピー全盛時代の渦中に登場した、時代の最高傑作、伝説のアルバムである。Beatlesの最高傑作であると評するファンも多い。
このアルバム以降、アルバムは何らかのコンセプトを持つべきであるというトレンドも生みだした。結果として、コンセプトアルバムが当たり前になった現在、発表当時のインパクトに比べていま改めて聴いた場合のインパクトが最も低くなっているアルバムとも言えるかもしれない。
では、このアルバムがBeatlesの最高傑作かというと、僕はそうは思わない。コンセプトもタイトルもジャケットデザインも、全てPaulのアイデアによるもの。ノリに乗っていたPaulが突っ走って作り、乗り気でなかったJohnがなんとか最低限の曲数だけ提供してできたこのアルバム。ソングライティングそのものはそれほどクオリティが高いとは思わない。Paulの、というよりもGeorge Martinの仰々しいサウンドはやや行き過ぎている感もある。4人の個性が最も見えないアルバムとも言える。
もし、このアルバムに本曲、A Day In The Lifeがなかったら、単に遊び心にあふれたおもしろいアルバム、で終わっていたのではないかと思う。しかしながら、この曲が最後に入っているからこそ、Sgt.Peppersは崇高な雰囲気を纏うのだ。
JohnとPaulのそれぞれの曲をつなぐオーケストレーションが極めて印象的だ。40名のミュージシャンが恐ろしいほどの壮大なスケールで低音から高音まで上り詰め、大音量の直後、静寂を極める。2度目の静寂の直後の、沈黙を打ち破るピアノのワンコード。長く、うやうやしい空気の中1分ほど続く残響音。
仰々しいサウンドが続くこのアルバムの中でも最もサウンドに凝ったこの曲が、他の曲とは別格の佇まいで輝くのは、何よりもメロディーそのものが美しいからだ。John作曲、Paul作曲の部分とも、アコースティックギターで弾き語りをしたとしても美しい曲になっていただろう。だからこそ、凝ったサウンドを身にまとっても、その派手さに負けないのだ。
Johnが明らかにPaulをライバル視し始めたこの時期に、JohnとPaulの共同で作られたこの曲。Beatlesだけでなく、ロック史上の最高傑作のひとつとして輝く最高の曲だ。
I Am The Walrus (1967)
アルバム「Magical Mystery Tour」に収められた、Beatlesの曲群の中でも難解を極める、Johnによる1曲。
Magical Mystery Tourは前作のSgt. Peppersと同じ年に作られているが、これも覚醒したかのように性急に曲を作り続けるPaul主導によるもの。このころにはJohnはPaulのアイデアすべてに否定的な考えを持つにいたっている。
もともと6枚組のミニアルバムだったこのアルバムにJohnが提供しているのはこのI Am The Walrusの1曲だけだ。先のA Day In The Lifeの選曲もそうだが、僕はこの頃のPaulの作風があまり好きではないのかもしれない。というよりも、数少ないJohnの存在感のあるサイケな曲が目立ちすぎるのか。。。
多数のオーケストラとコーラス隊を引き連れ、重厚で不気味なサウンドに乗せて「僕はセイウチ」と難解な歌詞を歌うJohn。マスコミやリスナーを混乱させることが目的だったのかもしれない。
Paulが作る曲は、産みの苦しみなどなく、まるでそこに最初から存在していたように自然で美しいメロディーを奏でる。一方でJohnの曲は、試行錯誤の上、苦しんで生み出した感が常に漂う。Paulは作曲家であり、Johnは表現者だったということか。このJohnのBeatles史上最も難解な曲がシングルとして発売されたとき、そのカップリングは、Beatles史上最もシンプルでわかりやすいHello Goodbyeであったのも、この2人の特徴を浮き彫りにしているように思う。
I Am The Walrusはその後Oasisがいつもライブの最後に演奏していたことでも知られている(彼らはBeatlesの別の曲、Helter Skelterをラストに持ってきていた時期もあったと思う)。この曲は、その不気味な雰囲気とは違い、意外とライブでもノリが出る曲だ。
表現者たるJohnが生み出したこのサウンド、ぜひ大音量で楽しんでほしい。後半にかけての、笑い声とも掛け声ともつかない声が響くアレンジは必聴だ。
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